女神は悪魔に。そして女王様に。<大動脈解離回顧録⑤>

白衣の女神は悪魔だったのを知った。
そんな41歳の後厄の秋。
前回のブログはコチラから。

集中治療室卒業。

丸4日間滞在した集中治療室もいよいよ卒業。
この間いろいろなことが起こりすぎました。

意識を取り戻してからヨーグルトの美味しさに涙し。
あまりの羞恥プレイにも涙しました。

そして斜向いの患者さんが亡くなったり。
夜中にうめき声が聞こえてきたり。

点滴の管が刺さりすぎていて痛いし。
止めてあるテープが痒いし。もう外したいよ・・・。

そんな中でも看護師さんの働きぶりには感服しました。
何があっても動じないし、動きを見ていると「アナタは手が何本あるんですか?」と思えるほど、鮮やかに点滴のパックを「ボクと会話しながら」扱っていたりします。

できる人ってどの分野にもいるんだな〜。
早くオレも復帰したいよな〜って思わされました。

いよいよ集中治療室から一般病棟へ移るのですが、ボクは指定された個室に入らなければならなかったんです。

それはナースステーションに隣接した個室でした。
元気なら「カワイイ看護師さんいないかな♡」とか思うんだろうけどそんな余裕は全くなし。

その個室に入る理由は、
・感染症を極力避けるため
・何があるか予断を許さないから
・何かあったらすぐに駆けつけるため
そんな理由で個室が用意されていました。

ちなみに感染症って書くとオーバーなんですけど、ボクは「風邪を引くこと」を口酸っぱく注意されています。
風邪の菌が人工血管や心臓の人工弁に付着すると大変な事態になるからです。

今年もインフルエンザも乗り越えられてヨカッタ。
罹患したらけっこう厄介ですからね〜。

▲個室はこんな感じです。トイレもついててヨカッタ・・・。誰かがお見舞いに来ても気兼ねなく話せるしね。

5日ぶりの再会。

個室に移動した日の夕方。
やっと子供たちに会えました。
それだけで涙が止まらなかったな。

集中治療室には子供は入れないらしく会えなかったんです。
二人の顔を見ただけで元気になれる気がしたな。

それから徐々に点滴の数も減ってきました。
変わらないのは「酸素マスク」です。

▲こんな感じのヤツね。見たことあるとは思いますが。この写真はやっと首から管が抜けた直後かな〜。テープが貼ってあるしね。

はじめは酸素マスクをしていないとサチュレーション(血中酸素濃度)が下がってしまうから。
健康な人は96〜99あるのに、マスクをしててもそこまで上がらないんです。

カンタンに言うと酸素マスクをしていないと「ずっと息苦しい」ってこと。
十分に酸素が取り込めない状態です。

というのは開胸手術をしていますので胸骨や肋骨に負担がかかると傷跡がめっちゃ痛むんです。
だから大きく息が吸い込めません。

一番困るのは「笑えない」ってこと。
笑うと胸が動くから、それだけで痛いんです。
笑えるのってやっぱり幸せなことなんだよね。

あとは寝返りがうてない、横向きで寝られないし、うつ伏せにもなれない。
もっと言えば「平らなベッドに寝られない」んです。

少し角度をつけておかないと痛いのと起き上がれないのと。
電動ベッドがあんなに便利なものだと初めて知りました。

 

トイレは・・・。

▲コレです。介護用とかで使いそうなヤツです。

ポータブルトイレの登場です。
大はこれでしろってことらしいです。
小はまだアソコに管が刺さってます。
要するに点滴の管がいっぱい刺さってるからトイレには入れないってこと。

用を足したら呼び出しボタンで看護師さんを呼びます。
フタがしてあるから臭わないけど、部屋の中にブツが鎮座してると思うとね・・・。

ここでも「看護師さん!う◯こしました!」って宣言してるようなもの。
集中治療室の悪魔が去ったと思ったら、一般個室で女王様登場です。もうドMになった気分です。

もう恥ずかしさにもだいぶ慣れてきました。
しかし。なかなかブツを片付けに来てくれない時もあるんです。
放置プレイの開始です。看護師さんも忙しいもんね。

 

そんなこんなで初日が過ぎていったのですが、この頃からです。
夜中を中心に激しい頭痛に悩まされるようになったのは。

ボクはめったに頭痛はないタイプでした。
せいぜい二日酔いの時くらいなものでしたからね。

アタマの中で誰かが突貫工事をしているような感じ。
ガンガン痛むというより「グワングワン」痛むって感じ。

人工心肺装置をつけて手術をする場合は「血栓」が飛んで脳の方に行く場合もあるとは聞いていました。

まさかそうなってるのか?
だって痛みがハンパじゃないもんな・・・。

毎朝回診にくる担当医にそのことを相談しました。
担当医から返ってきた答えは・・・

 

つづく

 

やまだ整骨院 院長 山田敬一

 

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山田 敬一
株式会社サイモン・やまだ整骨院代表 柔道整復師 
サイモン式テーピングマスター代表
メンタル心理カウンセラー 
G-nius5メディスン認定イメージトレーナー 
藤村正宏氏主宰・エクスマ塾45期卒/エヴァ10期卒/ウルエヴァ1期卒

2008年東京都文京区本駒込に「やまだ整骨院」を開院。
プロ格闘技選手のトレーナーを15年務める。
現在は青山学院大学女子バレーボール部、大相撲佐田の海関、パリ五輪代表女子柔道57kg級舟久保遥香選手のコンディショニングサポート中。
治療現場では「治療を通じてアナタの心と身体を応援します」をモットーに活動中。

テーピングの開発・販売・講習もしています。
(講習に関しては随時ブログにてお知らせしています)

スポーツ歴は中高生時バスケ、専門学校時に柔道、社会人になり格闘技(キックボクシング)をしていました。
修行期間13年を経て34歳で独立開業、35歳でアキレス腱断裂、41歳で大動脈解離を患い生死の境を彷徨いました。
もうスポーツは積極的にはできませんが、身体とメンタルの両面をサポートし、アスリートを目標達成へと導きます。

2020年4月よりオリジナルプロテインを販売開始。
学生競技の現場を体験して「継続して飲むなら美味しくて、身体にいいプロテインを飲んでほしい」その想いからオリジナルプロテインを作りました。

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